卵子・卵巣凍結

研究段階の技術

不妊生殖医療補助技術は日進月歩であり、まだまだ現在進行中です。
現在、治療として効果が確認されている技術もありますが、まだまだこれから改善の余地のある研究段階の技術もあります。ここでは、これから改善されていく余地のある技術に関する情報をとりあげました。当院としても今後、安全性と効果を検証しながら取り組んでいきたいと思っています。

卵子・卵巣凍結

卵子凍結

採卵直後の卵子
採卵直後の卵子の詳細図

卵子凍結(未受精卵凍結)は医学的適応により凍結する場合と社会的適応により凍結があります場合があります。
医学低適応により凍結を行う場合は、悪性腫瘍などに罹患した方が、抗がん剤や放射線治療を行うため、妊孕性が低下する前に緊急避難的に卵子を凍結する場合です。
社会的適応により凍結を行う場合は、独身で結婚予定がなく、加齢などにより生殖能力が衰えてしまう前に卵子を凍結する場合です。
いわゆる卵子バンク的な考え方です。
どちらの場合も、妊孕性を保つことが出来るメリットがあります。
ただ、凍結をした場合、費用がかかり続ける事と、未受精卵を凍結した場合の凍結・融解生存率は、受精卵を凍結する場合よりの凍結・融解生存率は下がるデメリットがあります。また凍結による染色体への影響はまだ未解明です。

卵子・卵巣凍結のイメージ

卵巣凍結

卵巣凍結は、悪性治療患者の方が治療前に卵巣切片を凍結しておき、治療後移植するもので、2004年9月にベルギーチームによって世界で初めての妊娠・出産例が報告され、欧米諸国では悪性腫瘍患者の卵巣凍結保存が多くの施設で実施されています

しかしながら、その成功率にはいまだ低く、リスクも多くあるのが現状です。まず、第一に卵巣組織の凍結・融解技術はほぼ確立していますが、卵巣組織を移植した場合、組織への血流が復活し、生着するかどうかが大きな鍵を握っているといえます。また、移植組織が生着し血流が復活したとしても、その移植卵巣組織の機能持続は最長で3年とも報告されています。第二に、卵巣組織を移植することによって、腫瘍の再発の危険が高まることも挙げられます。

まだまだ研究段階だと考えられます。