学会発表・論文発表

第62回日本生殖医学会(2017.11.16-17 下関)

女性年齢がICSI後の初期胚に及ぼす影響

大阪New ART クリニック

New ART リサーチセンター

森本 有香松葉 純子細川 由起原武 佑樹松原 健一安部 珠実仲谷 和子富山 達大
  • 目的

    女性年齢の上昇は卵子の質に影響すると報告されているが、初期胚に関する報告は少数である。そこで今回我々は女性年齢がICSI後の初期胚に及ぼす影響について後方視的に検討した。

  • 方法

    2014年5月から2017年5月までの期間、当院にてICSIを施行した患者367人718周期を対象とした。患者年齢を34歳以下、35~39歳、40~42歳、43~45歳の4群に分類し、それぞれ2PN率、1PN率、3PN率を比較した。また、2PN胚においてearly cleavageの2cell率、Day2での4cell率、Day3での7~9cell率も比較した。

  • 結果

    2PN率、1PN率は患者年齢において有意差は認められなかった(60.3% vs. 61.4% vs. 61.2% vs. 60.1%、3.73% vs. 2.25% vs. 2.31% vs. 3.19%)。3PN率は43~45歳群が他群と比較し、有意に上昇した(0.17% vs. 1.25% vs. 1.54% vs. 3.51%;p<0.05)。また、early cleavageの2cell率も43~45歳群において有意に上昇した(29.3% vs. 26.5% vs. 26.7% vs. 39.6%;p<0.01)。Day2での4cell率、Day3での7~9cell率は患者年齢において有意差は認められなかった(32.7% vs. 44.2% vs. 50.0% vs. 43.4%、55.1% vs. 51.2% vs. 51.1% vs. 50.5%)。

  • 結論

    今回の検討では3PN率が43~45歳群において他群と比較し有意に上昇した。加齢により、第二極体を放出する能力が低下しているのではないかと考えられる。また、early cleavageの2cell率が43~45歳で有意に上昇したため、第一分割が早く起こることが示唆された。