学会発表・論文発表

第61回日本生殖医学会(2016.11.3-4 東京)

凍結融解胚盤胞移植における胚盤胞の形態と流産率、継続妊娠率、生産率との関係についての検討

大阪New ART クリニック

New ART リサーチセンター

松葉 純子細川 由起森本 有香原武 佑樹得丸 倭香藤岡 美苑松原 健一富山 達大
  • 目的

    胚盤胞の形態と妊娠率、流産率、継続妊娠率には関連があると報告されている。今回移植胚盤胞の内部細胞塊(以下ICM)と表層細胞(以下TE)のグレードと妊娠率、流産率、継続妊娠率、生産率に関連があるかを後方視的に検討したので報告する。

  • 方法

    2004年から2015年の期間、当院にて凍結融解単一胚盤胞移植を行なった、患者年齢30~39歳の1125周期を対象とした。移植前に胚盤胞のICMとTE形態をガードナー分類に従い、良好な順にA、B、Cと評価した。その後妊娠率、流産率、継続妊娠率、生産率と各グレードとの関連を後方視的に検討した。

  • 結果

    妊娠率は35.5%(399/1125)であり、妊娠率とICM、TEグレードに有意な関連があった(それぞれP=0.041、0.001)。化学妊娠を含む流産率は61.4%(245/399)、継続妊娠率は40.9%(163/399)、生産率は41.1%(138/335(2014年まで))であった。流産率(P=0.531、0.753)、継続妊娠率(P=0.545、0.517)、生産率(P=0.545、0.517)とICM、TEグレードには有意な関連はなかった。しかし、ICMとTEグレードが共にCであるCC胚盤胞は、ICM、TEグレードがともにBまたはAである≧BB胚盤胞と比較した際、有意に流産率が高かった(61.1%(11/18) vs. 37.8%(105/278):P<0.05)。継続妊娠率、生産率はCC胚盤胞が≧BB胚盤胞に比べて低い傾向があった。

  • 結論

    凍結融解胚盤胞移植において、移植胚盤胞のICMとTE形態と妊娠率に有意な関連があった。流産率、継続妊娠率、生産率では移植胚盤胞の形態が関連する可能性が示唆された。