第61回日本生殖医学会(2016.11.3-4 東京)
expanded blastocystsにおける凍結前の人工的な胞胚腔収縮Laser punctureの適用胚についての検討
大阪New ART クリニック
New ART リサーチセンター
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目的
当院では以前から、expanded blastocysts以上の特に発生が進んだ胚に対してLaser puncture(以下LP)を行なった後、凍結を行なってきた。しかし、全てのexpanded blastocystsに適用していないためその基準はあいまいであり、LPを行なわず凍結時収縮が不良な胚は凍結液内で時間を延長して凍結している。今回、LPを行なった場合とLPを行なわず時間を延長させた場合の胚の生存率および回復率、妊娠率を後方視的に検討した。
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方法
2010年2月から2016年3月の期間、培養5日および6日目の胚についてgardnerの分類に従い、expanded blastocysts胚をCryoloopを使用して凍結した。凍結胚は4グループ(LP区:LPのみを行なった胚、延長区:凍結時に収縮不良で凍結時間を30~60秒延長した胚、LP+延長区:LPを行なったが凍結時に収縮が不良で時間を15~60秒延長した胚、control区)に分類した。融解2時間後の生存率および回復率(full blastocysts以上)、また移植後の妊娠率を比較した。
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結果
融解2時間後の生存率(control区97.1%、LP区97.1%、延長区91.8%、LP+延長区96.6%)はcontrol区と延長区にのみ有意な差が認められた(p<0.05)。回復率(control区37.7%、LP区73.1%、延長区44.8%、LP+延長区60.7%)では、control区はLP区とLP+延長区よりも有意に低かった(p<0.05)。また、LP区と延長区間にも有意な差が認められた(p<0.01)。妊娠率(control区23.2%、LP区28.3%、延長区12.7%、LP+延長区40.0%)においては、延長区はcontrol区とLP区、LP+延長区の全ての区間で有意に低かった(p<0.05)。またLP+延長区はcontrol区よりも有意に高かった(p<0.05)。
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結論
LP区とcontrol区間の妊娠率に差が無く、LP区またはLP+延長区は延長区よりも有意に高い妊娠率であったことより、LPは一部の胚で行なっていたが、全てのexpanded blastocystsに適用可能であると考えられた。