学会発表・論文発表

第61回日本生殖医学会(2016.11.3-4 東京)

ARTにおける出生児性比の検討

大阪New ART クリニック

New ART リサーチセンター

原武 佑樹松葉 純子細川 由起森本 有香得丸 倭佳藤岡 美苑松原 健一富山 達大
  • 目的

    自然妊娠における出生児性比の男児率はおよそ51%と女児率よりもわずかに高い。ART(IUI・IVF・ICSI)による妊娠が増え出生児への影響に関する研究が散見される。ARTでは自然妊娠に比べ男児比が高いという報告や胚盤胞移植では男児比が高いという報告がある。今回、当院での出生児の性比にARTが影響するかを後方視的に検討した。

  • 方法

    2007年1月~2014年12月の期間、当院にてARTを施行し分娩まで経過を追った1088児(IUI227児、新鮮胚移植304児、凍結融解胚盤胞移植(以下FET)557児)を対象とした。各方法別に男児率を求め、女児率と比較した。尚、新鮮胚移植は移植日、媒精方法で比較し、FETは媒精方法で検討した。

  • 結果

    各方法の男児率はIUI:47.1%(107/227)、新鮮胚移植(分割胚移植):52.0%(104/200)、新鮮胚移植(胚盤胞移植):50.0%(52/104)であった。新鮮胚移植を媒精方法別で分類するとIVF-分割胚:51.9%(54/104)、ICSI-分割胚:52.1%(50/96)、IVF-胚盤胞:46.9%(23/49)、ICSI-胚盤胞:52.7%(29/55)であり、新鮮胚移植ではいずれも女児率との間に有意な差は見られなかった。FET では53.0%(295/557)、更に媒精方法で分類するとIVF:53.6%(210/392)、ICSI:51.5%(85/165)であった。FETでは女児率と比較してFETとFET(IVF)で有意に高かった(p<0.05)。

  • 結論

    FETで男児率が上昇する可能性が示唆されたが、自然妊娠と同程度であり、ARTによる特別な性の偏りはないと考えられた。今後大規模な検討が必要であると示唆された。