第61回日本生殖医学会(2016.11.3-4 東京)
ARTにおける子宮外妊娠と影響する因子についての検討
大阪New ART クリニック
New ART リサーチセンター
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目的
ARTにおいて子宮外妊娠が起こる確率は自然妊娠よりも高いと報告されている。子宮外妊娠が起こる原因として、自然妊娠では卵管因子、子宮外妊娠の既往、クラミジア感染、子宮筋腫や子宮内膜症、ARTではそれに加え、分割胚移植や子宮内膜厚などが挙げられている。そこで今回我々はART後の子宮外妊娠に影響する因子について検討した。
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方法
2002年1月から2015年12月までの期間、当院にてIVFまたはICSIを行ない、妊娠が確認できた患者1579名、2011周期を対象とした。子宮外妊娠率を移植方法、移植胚の発生ステージ、凍結融解胚盤胞のグレード、子宮外妊娠の既往、不妊原因、子宮内膜厚の項目についてそれぞれ比較した。
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結果
全体の子宮外妊娠率は1.89%であった。それぞれの子宮外妊娠率は移植方法(新鮮胚移植:2.23%、凍結融解胚移植:1.59%)、移植胚の発生ステージ(分割胚移植:2.91%、胚盤胞移植:1.53%)、凍結融解胚盤胞のグレード(Gardner分類③BB以上:1.90%、③BC以下:1.14%)、子宮外妊娠の既往(有:3.23%、無:1.85%)、不妊原因(卵管因子:2.23%、子宮因子:1.33%、子宮筋腫:0%、その他の因子:1.86%)であり、これらの項目では有意差は認められず、子宮内膜厚でのみ<9mmと>12mmにおいて子宮外妊娠率に有意差が認められた(<9mm vs 9-12mm vs >12mm:3.31%vs1.92vs1.50%;p<0.05)。
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結論
今回の検討では卵管因子や子宮外妊娠の既往では子宮外妊娠率に有意差が認められず、子宮内膜が<9mmの場合有意差が認められたため、子宮内膜の菲薄は子宮外妊娠に影響を及ぼすことが示唆された。