学会発表・論文発表

日本生殖医学会(2014.12.4-5 東京)

培養液の違いによりDay3における胚の形態に与える影響とその後の発生についての検討

大阪New ART クリニック

New ART リサーチセンター

炭谷 美保松葉 純子横田 麻里子細川 由起大原 知子森本 有香原武 佑樹得丸 倭佳富山 達大
  • 目的

    胚発生において、Day3の時点で細胞間接着を起こしている胚が存在する。本検討では、培養液によりDay3で起こる細胞間接着に影響があるか、また、Day3にて細胞間接着を起こした胚のその後の発生について検討を行なった。

  • 方法

    2011年3月から2014年1月の期間に当院にてIVFまたはICSIを実施し、得られた2PN胚が4個以上であった374症例429周期を対象とした。2PN胚は同一患者内でSequential Medium(G-1,2TM PLUS:Vitrolife社;以下G1群)とSingle Medium(Global Medium:LifeGlobal社;以下GM群)の2群に等分して培養した。Day3にて割球数と細胞間接着の有無を確認し、接着が見られた胚は完全に接着して割球の識別が不可能な胚(以下完全接着胚)と、割球の識別が可能な胚(以下割球接着胚)に分類し培養液ごとに比較した。さらに割球接着胚(以下(+))は割球数ごとに4~6cell、7~9cell、≧10cellの3群に分類して、同じ細胞数の範囲で接着が見られなかった胚(以下(-))とその後の良好胚盤胞率を比較した。

  • 結果

    Day3における平均割球数はG1群で7.43±2.29、GM群で7.63±2.24であり有意な差はなかった。G1群とGM群の完全接着胚率はそれぞれ0.2%、2.9%、割球接着胚率は2.0%、11.6%で、どちらもGM群で有意に上昇した(P<0.01)。良好胚盤胞率を、(+)(-)で比較した所、G1群では4~6cell;25.0% vs. 14.2%、7~9cell;52.6% vs. 45.7%、≧10cell;60.0% vs. 40.1%であった。GM群では4~6cell;21.4% vs. 16.4%、7~9cell;57.3% vs. 50.3%、≧10cell;40.0% vs. 36.3%であり、G1群、GM群ともに細胞接着がみられた胚で良好な傾向がみられたものの、有意な差はなかった。

  • 結論

    Global Mediumで培養した胚はG-1,2で培養した胚と比較してDay3で細胞間接着を起こす割合が高いことが示されたが、その後の発生には影響がないと考えられた。今後症例を増やし更なる検討が必要である。