日本生殖医学会(2013.11.15-16 神戸)
Day4胚盤胞と着床率との関係
大阪New ART クリニック
New ART リサーチセンター
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目的
これまで胚の発生速度と着床率について議論されてきた。移植胚を選択する際、分割胚では発生が早すぎる胚は対象から外すべきとの見解があるが、Day4にて完全胚盤胞以上に発生した胚をしばしば観察する。今回それらの胚を移植した際の着床率と、症例を発生速度別に分けた妊娠率について検討した。
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方法
2010年から2012年の間に当院にてIVFまたはICSIを施行し、Day4にて胚観察を行なった35歳未満、IVF回数3回以内、かつ単胚移植を行なった症例を対象とした。Day4において1桑実胚、2桑実胚でかつ胞胚腔の形成が見られた胚、3胞胚腔が胚の1/4~1/2に広がった胚盤胞、4胞胚腔が胚全体に広がった完全胚盤胞以上の胚について着床率を後方視的に検討した。また対象症例を1 Day4における発生最速胚が桑実胚であった周期、同様に2桑実胚で胞胚腔の形成が見られた胚、3胞胚腔が1/4から1/2の胚盤胞、4完全胚盤胞以上の4群に分けて検討した。
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結果
各4群間で年齢、回数、採卵数、症例別では採卵あたりの移植回数に有意な差はなかった。各群の着床率は、1 24.7%(24/97)、2 47.1%(16/34)、3 48.3%(15/31)、4 37.5%(6/16)であり、桑実胚と比較して胞胚腔の有る桑実胚、胞胚腔が1/4から1/2の胚盤胞が有意に上昇した(p<0.05)。症例別では1 49.0%(51/104)、2 62.5%(15/24)、3 75.0%(39/52)、4 78.6%(22/28)であり、最速胚が桑実胚の症例と比較して、胞胚腔が1/4から1/2の胚盤胞または完全胚盤胞以上が最速胚であった症例で妊娠率が有意に上昇した(p<0.01)。
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結論
Day4において胞胚腔の有無により、着床能に差があることが示唆された。また、Day4における発生速度が妊娠率と関係があることが示唆された。