学会発表・論文発表

日本生殖医学会(2012.11.8-9 長崎)

IVF時の卵丘細胞の早期裸化処理は良好胚盤胞の発生に影響を与える

大阪New ART クリニック

New ART リサーチセンター

細川 由起松葉 純子横田 麻里子橋口 綾乃炭谷 美保上野 紗也香大原知子貴志 瑞季椎名 薫森本 有香富山 達大
  • 目的

    Conventional IVFにおいてRescue ICSIを実施する場合、媒精数時間後に卵丘細胞を早期裸化し第二極体の有無を確認する。我々は2007年本学会において、ICSI後の胚と卵丘細胞を共培養することにより分割率、胚盤胞到達率が有意に上昇することを報告したが、IVFにおいても卵丘細胞の早期裸化が胚の発生に影響を与えるのではないかと考えた。今回我々はIVF時の卵丘細胞の早期裸化が胚の発生に与える影響を後方視的に検討した。

  • 方法

    2007年1月~2010年9月の間に採卵しIVFを行なった263周期を対象とした。媒精5.5時間後に卵丘細胞の早期裸化を行ない、第二極体を観察した後rescue ICSIを行わなかった141周期をA群、早期裸化を行なわなかった123周期をB群とした。受精評価は両群とも媒精11時間後に行ない、受精率、分割率、Day5胚盤胞発生率、Day5良好胚盤胞発生率を比較した。胚盤胞はGardner分類に基づいて評価し、3BB以上を良好胚盤胞とした。

  • 結果

    A群での受精率、分割率、Day5胚盤胞発生率、Day5良好胚盤胞発生率は83%、89%、39%、10%であったのに対し、B群では81%、88%、38%、13%であった。受精率、分割率、Day5胚盤胞発生率において両群間に有意な差はみられなかったが、Day5良好胚盤胞発生率は早期裸化を行なわなかったB群のほうが有意に高いことが分かった(p<0.05)。

  • 結論

    IVFにおいて卵丘細胞の早期裸化により良好胚盤胞発生率が低下することが示された。従って早期裸化処理は胚にストレスを与えるだけではなく、卵丘細胞が卵子・胚の発生に重要な役割を担っている可能性が示唆された。