学会発表・論文発表

日本生殖医学会(2012.11.8-9 長崎)

ヒトIVF胚のHatching部位の検討

大阪New ART クリニック

New ART リサーチセンター

松葉 純子横田 麻里子橋口 綾乃炭谷 美保細川 由起上野 紗也香大原知子貴志 瑞季椎名 薫森本 有香富山 達大
  • 目的

    胚が透明帯から孵化(以下Hatching)することは、子宮に着床し正常な発生を継続するのに必須である。哺乳類の胚のHatching過程については、胚や子宮から分泌される酵素の存在などが示唆されてきたが、ヒト胚では明らかになっていない。Hatcing開始部位についても同様である。今回我々はヒト胚のHatching開始部位について検討したので報告する。

  • 方法

    2003年1月から2011年12月までの期間、当院にてIVFを施行し、Hatching胚盤胞まで体外培養を行なった胚について後方視的に検討した。胚盤胞は培養4日目から6日目のいずれかで移植もしくは凍結を行ない、その際に写真を撮って胚の状態を記録した。その後写真にて胚盤胞のICMとHatching部位の両方を確認し、Hatchingがその周囲180度以内で開始している胚をICM側とし、それら以外と区別した。胚の1/2以上の細胞質がすでにHatchingしていた胚、ICMやHatching開始部位が確認できなかった胚はこの検討から除いた。培養は37℃、6%CO2、5%O2に調整したインキュベーター内にて、ドロップ培養法で行なった。

  • 結果

    273個のHatching胚盤胞を調べた結果、ICMの近くからHatchingしていた胚は179個、ICMの反対側からHatchingしていた胚は94個で、ICM側から有意にHatchingを開始していた。(179/273 vs. 94/273: p<0.01)。

  • 結論

    体外培養を行なったヒト胚はICMの近くからHatchingを開始することが示唆された。