日本生殖医学会(2011.12.8-9 神奈川)
単一凍結胚盤胞移植時における胚盤胞のHatchingと着床との関係
大阪New ART クリニック
New ART リサーチセンター
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目的
我々は凍結融解胚盤胞移植において、胚盤胞のICMとTE、胞胚腔のグレードで移植の有無、移植個数を決定している。しかしHatching胚盤胞の場合、胚によってHatchingの進行度は様々であるにも関わらず、すべて同じグレードとして判定されている。そこで今回我々はHatching胚盤胞をさらに4つに分類し、妊娠率を比較検討した。
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方法
2010年1月から2011年6月までの期間、当院にて培養5~6日に胚盤胞を凍結し、単一凍結胚盤胞移植を行った症例を対象とした。凍結胚盤胞は融解後Zona drilling法により透明帯の一部を開孔し、融解2時間後と移植直前に胞胚腔の再拡張を観察した。移植時に胚盤胞がHatchingしていた85症例について、透明帯から脱出している細胞量により胚盤胞を以下の4群(①Fragment大の細胞がわずかにHatchingしている、②胚盤胞の1/4以上の細胞がHatchingしている、③ICMが脱出している、④すべての細胞が透明帯から脱出している)に分類し、それぞれの妊娠率を検討した。
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結果
各群間での患者年齢、治療回数、透明帯を開孔した大きさに有意な差はなかった。また融解から移植までの培養時間にも有意な差はなかった。それぞれの妊娠率は①17.8%(8/45)、②33.3%(7/20)、③66.7%(2/3)、④66.7%(2/3)でHatchingが進むにつれて妊娠率が上昇する傾向がみられた。そしてICMが透明帯より脱出している胚盤胞はそうでない胚盤胞に比べて、妊娠率が有意に高かった(66.7%(4/6) vs. 24.4%(19/78); p<0.01)。
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結論
Zona 凍結融解胚盤胞を移植する際は、胚盤胞のHatchingが進むにつれて妊娠率が上昇する傾向があり、早い段階でICMが透明帯から脱出する事が重要であると示唆された。