日本生殖医学会(2010.11.11-12 徳島)
早期分割胚の割球の均等性に関する検討
大阪New ART クリニック
New ART リサーチセンター
橋口 綾乃福富 紀子松葉 純子小泉 あずさ横田 麻里子日貝 千春 炭谷 美保佐藤 暁子細川 由起富山 達大
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目的
当院では胚選択の指標のひとつとして早期分割の有無の確認を行っており、早期分割胚は有意に胚発生率および妊娠率が高いと2008年の本学会で報告した。しかし、早期分割胚の中でも割球の均等性に違いが見られることがある。今回、早期分割胚の割球の均等性が胚選択の指標として有用かどうかを検討した。
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方法
2009年1月から2010年4月の間に、当院にてconventional IVFを行った症例のうち、インフォームドコンセントを得た上で、媒精27時間後に早期分割の有無を確認し、早期分割胚が確認された64周期135個の胚を対象とした。早期分割胚は割球が均等か不均等かを確認した。均等群(n=99)と不均等群(n=36)で、Day3での7~9cellへの発生率および良好胚(7~9cellでVeeckの分類Grade1、2)への発生率を比較した。
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結果
Day3での7~9cellへの発生率は、均等群70.7%(70/99)、不均等群55.6%(20/36)で、均等群で高い傾向が認められた。また良好胚への発生率は、均等群33.3%(33/99)、不均等群13.9%(5/36)で、均等群と不均等群の間に有意な差が認められた(P<0.05)。
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結論
割球の均等性によって、Day3の胚発生、特に良好胚への発生では有意な差が認められたことから、早期分割胚の割球の均等性は胚選択の指標として有用であると考えられた。