学会発表・論文発表

日本生殖医学会(2010.11.11-12 徳島)

早期分割確認時の前核胚に関する検討

大阪New ART クリニック

New ART リサーチセンター

横田 麻里子福富 紀子松葉 純子小泉 あずさ橋口 綾乃日貝 千春 炭谷 美保佐藤 暁子細川 由起富山 達大
  • 目的

    昨年本学会において、早期分割(以下EC)確認時に分割していない1細胞胚(PN消失胚、PN継続胚)について検討し、PN継続胚は早期分割胚やPN消失胚と比較してDay3における良好胚率が最も低いことを報告した。今回、データの加算により胚盤胞までの胚発生を比較したので報告する。

  • 方法

    2009年2月から2009年12月までに当院にて体外受精(IVF)を行い、媒精27時間後にECを確認した140周期(591個)を対象とした。EC確認時、分割していた胚(2C群:164個)、分割していない1細胞胚をPNが消失している胚(PN無群:184個)とPNが継続している胚(PN有群:243個)に分け、合計3群に分類して、Day3での良好胚率(7~9cell)、Day5における胚盤胞到達率および良好胚盤胞率(③BB以上)について比較した。

  • 結果

    Day3良好胚率では、PN有群、PN無群、2C群の順に上昇し、3群間に有意な差が見られた(2C:62.9%ac、PN無:50.0%ab、PN有:27.1%bc a;p<0.05、b.c;p<0.01)。また胚盤胞到達率においてもPN有群、PN無群、2C群の順に上昇し、3群間に有意な差が見られた(2C:59.5%de、PN無:43.4%df、PN有:26.0%ef d.f;p<0.05、e;p<0.01) 。良好胚盤胞率においては3群間に有意な差は見られなかった(2C:31.8%、PN無:27.8%、PN有:24.0%)。

  • 結論

    PN継続胚は早期分割胚やPN消失胚と比較して、Day3良好胚獲得率および胚盤胞到達率が有意に低いことから、早期分割確認時に他の胚と区別して培養し、胚移植時に考慮することが有効であると考えられた。