学会発表・論文発表

日本生殖医学会(2010.11.11-12 徳島)

男性因子における精子調製とDNA fragmentationについての検討

大阪New ART クリニック

New ART リサーチセンター

小泉あずさ福富 紀子松葉 純子横田 麻里子橋口 綾乃日貝 千春 炭谷 美保佐藤 暁子細川 由起富山 達大
  • 目的

    男性因子においていかに良好な精子を選択するかはその後のART成績に影響しうる一因である。そのためICSIに使用する精子液中の精子DNA fragmentationの割合(DF率)を調製処理により低下させることは重要である。そこで我々は精子調製方法別に精子DF率を調べた。

  • 方法

    インフォームドコンセントを得た不妊男性患者26名の射出精子について(1)精液原液 (2) 2層密度勾配遠心法(90%・50%Isolate)により回収した精子 (3)(2)の後swim-up法により回収した精子 の3段階でDF率を算出した。WHOガイドラインの基準値を満たさない、あるいはKrugerによるstrict criteriaにおいて正常形態率14%以下の症例を男性因子群(MF群、n=17)、それ以外を正常群(NMF群、n=9)とし、DF率を比較した。DF率はsperm chromatin dispersion test kit (Halosperm®、Halotech DNA)を用いて調べた。

  • 結果

    平均DF率はそれぞれMF群が(1)52.9%(2)17.9%(3)9.5%、NMF群が(1)18.9%、(2)4.3%(3)2.5%であった。MF群の精液原液のDF率はNMF群より有意に高かった(p<0.01)。2層密度勾配遠心法によりMF群のDF率は減少したもののNMF群と比べ有意に高かった(p<0.01)。swim-up法では2群間でDF率に有意差は認められなかった。

  • 結論

    男性因子精子では2層密度勾配遠心法後、swim-up法を行うことで正常精子と同等までDF率を低下させることができ、有効な精子調製方法であることが示された。