日本生殖医学会(2009.11.22-23 金沢)
凍結融解胚盤胞におけるAssisted Hatchingの有効性の検討
大阪New ART クリニック
New ART リサーチセンター
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目的
凍結融解胚盤胞においてAssisted Hatching(AHA)の位置が胚盤胞のHatching現象と関係あるかどうかを調べた。
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方法
院内における倫理委員会の承認を得たうえで、2004年6月から2008年1月までの間に胚盤胞凍結を行い、その後妊娠出産に至ったため破棄を希望した患者のうち、文書によりインフォームド・コンセントが得られた23人から28個の胚盤胞を使用して行った。提供された凍結胚盤胞を融解し、融解から30分まで5分毎にICMが明確に確認できるかどうかを記録した。また5分毎に囲卵腔の広さを測定した。融解した胚盤胞を無作為に2グループに分け融解から30分後に、一方にはLaserを用いてICMの直近にAHAを行い(ICMグループ)、もう一方の群にはICMの対極側にAHAを子なった(対極グループ)。融解後、1,2,3,4,6時間とそれ以降は6時間毎に48時間まで観察し、Hatchingした場合、ICMを放出した割合、Hatchedした割合を比較した。
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結果
ICMが確認できるまでの平均時間は17.9分で、融解30分後には全ての胚盤胞にICMを確認できた。融解30分後の平均囲卵腔は19.3μmであった。融解後48時間までにICMを放出した割合は、対極グループ(21.4%、3/14)に比べてICMグループ(100%、14/14)で有意に高かった。(p<0.001)完全にHatchedした胚盤胞の割合は、対極グループ(21.4%、3/14)に比べてICMグループ(71.4%、10/14)で有意に高かった。(p<0.001)
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結論
ICMの近くでAHAを行った群では、ICMの反対側にAHAを行った群に比べて、ICMを放出した割合、Hatchedした割合が有意に高かった。AHAをICMの反対側に行った場合、Hatchingを妨げる可能性が示唆された。