日本生殖医学会(神戸)
当院におけるDay4桑実胚凍結の形態学的評価の検討
大阪New ART クリニック
New ART リサーチセンター
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目的
当院ではDay4凍結の導入によりDay5における胞胚腔が拡がりきった胚の低い生存率を改善したことから、Day4凍結を積極的に行っている。しかし Day4における桑実胚の中には融解後発育が不良な胚もみられる。そこでDay4桑実胚を形態学的に評価し、凍結に適する桑実胚を後方視的に検討した。
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方法
2004年3月~2008年4月の間にDay4に桑実胚であった胚において凍結融解胚移植を計画した106周期を対象とした。これらの桑実胚を compaction率、fragment率、ステージ別に評価し、融解後の胚発育及び着床率を比較した。胚は融解17時間後に評価しその後移植した。
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結果
compaction率75%以上胚は、融解後桑実胚のままであった胚の割合が6.4%に対し、75%未満胚では25.0%と有意に高かった(p<0.05)。fragment率5%未満胚の良好胚盤胞率は90.6%に対し、5%以上胚では66.7%と有意に低かった(p<0.01)。ステージ別評価では、融解後の胚盤胞到達率はcompact morulaが73.7%に対しlate morulaは98.2%と有意に高かった(p<0.01)。着床率はcompact morulaが8.6%に対しlate morulaでは24.3%と有意に高かった(p<0.01)。compaction率及びfragment率については着床率に有意差は認められなかった。
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結論
late morulaまで発育した胚であることが、Day4凍結に適する一つの指標であることが示唆された。また、compaction率及びfragment率も融解後の胚発育に影響がみられ考慮する必要があると考えられた。これらの指標に加え、今回検討していないDay2及び3における割球の均等性や分割数も考慮する必要があると思われる。