日本生殖医学会(秋田)
出産歴の有無による体外受精成績の比較
大阪New ART クリニック
New ART リサーチセンター
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目的
多胎妊娠防止は重要な課題であり、中でも出産歴のある2人目不妊の夫婦においては切実な問題である。本年3月には本学会より「多胎妊娠防止のための移植胚数ガイドライン」の案が発表され、当院でもガイドラインに従い移植胚数の決定を行なっている。 そこでガイドライン適応前の症例について出産歴のある夫婦と出産歴のない夫婦において移植胚数別の多胎率を比較した。
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方法
2002年1月から2007年2月の間に当院で新鮮胚移植およびFETを行なった、115周期を出産歴の有無により分け多胎率の比較を行った。サブグループとして年齢により35歳以下、36~40歳、40歳以上の3群に、また移植胚数により単胚移植、2個胚移植、3胚移植に分類した。
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結果
単胚移植周期において両群とも多胎妊娠は見られなかった。2個胚移植周期おける出産歴あり群となし群の各年齢群の多胎率は29.2 vs 23.6%、4.3 vs 8.5%、0.0 vs 0.0%といずれも有意差は認めなかった。同様に3個胚移植周期において各年齢群の多胎率は33.3 vs 20.0%、0.0 vs 12.5%、0.0 vs 0.0%といずれも有意差は認めなかった。
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考察
当院では多胎妊娠が予測される症例においては単胚移植を積極的に行い、多胎防止に取り組んできた。「多胎妊娠防止のための移植胚数ガイドライン」の導入によって、より移植胚数を決定する基準が明確になったといえる。今回、出産歴の有無により多胎率に差が有るかどうかを検討したが有意な差は見られなかった。このことより、出産歴の有無に関わらずガイドラインに基づいた胚移植数の決定が行なわれるべきであると考えられた。