学会発表・論文発表

日本生殖医学会(秋田)

初回周期における単一胚移植の検討

大阪New ART クリニック

New ART リサーチセンター

福富 紀子宮田 広敏松葉 純子小泉あずさ横田 麻里子梶原 慶子橋口 綾乃富山 達大
  • 目的

    2007年3月に日本生殖医学会から胚移植に関するガイドラインが新たに発表され、多胎妊娠防止への積極的な取り組みが行われている。当院においてもガイドラインに基づいた胚移植数が適応するか、初回周期における単一胚移植の成績を後方視的に検討したので報告する。

  • 方法

    2002年1月から2007年2月までにインフォームドコンセントを得て実施した初回単一胚移植165周期について年齢別および移植胚別妊娠率、着床率および多胎率について検討した。

  • 結果

    初回単一胚移植165周期の平均年齢は37.7歳、妊娠率は24.2%、着床率は19.4%、多胎率は3.1%だった。年齢別妊娠率、着床率および多胎率は35歳未満:35.6%、28.9%および0%、35歳以上:20.0%、15.8%および5.3%であり、35歳未満において妊娠率および着床率が有意に高かった。分割胚移植は平均年齢39.3歳、妊娠率11.0%、着床率8.5%、多胎率0%、胚盤胞移植は平均年齢35.8歳、妊娠率45.6%、着床率36.8%、多胎率4.0%であり、分割胚移植と比較して胚盤胞移植のほうが妊娠率および着床率は有意に高かった。また、良好胚盤胞を1個移植した成績は平均年齢34.8歳、妊娠率57.4%、着床率48.9%、多胎率4.3%であった。

  • 結論

    35歳未満の初回周期では移植胚を1個にすることで、多胎妊娠は避けられると考えられた。また、初回周期に胚盤胞を移植する場合は年齢に関係なく移植胚を1個にすることで、多胎妊娠が最小限に抑えられると考えられ、ガイドラインが適応することの確認ができた。今後も変化に富む医療社会に敏感に反応し、医療従事者としての役割を果たすべきである。