日本生殖医学会(大阪)
単一凍結融解胚盤胞移植の検討
大阪New ART クリニック
New ART リサーチセンター
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目的
理想的なARTは単胎妊娠することである。特に凍結融解胚盤胞移植の場合、2人目、3人目出産の需要が高く多胎妊娠を避けたい。そこで多胎妊娠の予防を目的とした単一凍結融解胚盤胞移植適用の検討を行ったので報告する。
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方法
2002年1月より2006年3月までにインフォームドコンセントを得て実施した単一凍結融解胚盤胞移植109周期について年齢別および移植胚グレード別の妊娠率を検討した。また、凍結までの培養期間(培養4、5、6日目)の違いによる妊娠率も検討した。
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結果
単一凍結融解胚盤胞移植109周期の妊娠率は31.2%、多胎率は2.9%、流産率は11.8%だった。年齢別妊娠率は29歳以下:60.0%、 30-34歳:46.9%、35-39歳:22.2%、40歳以上:22.2%であり、34歳以下で有意に妊娠率が高かった(P<.0.05)。移植胚グレード別の妊娠率は、Full BL以上で内細胞塊および外細胞層のグレードがB以上の場合、46.0%であった。培養4、5および6日目の凍結融解胚の妊娠率は36.3%、28.8%および33.3%であった。また、凍結時に単胚凍結した胚の妊娠率と、複数胚凍結して融解後にグレードの良い胚を移植した妊娠率を比較したところ、培養4 日目凍結融解胚のみ単胚凍結融解胚のほうが妊娠率は高く(40.9%)、培養5日目および6日目は複数胚凍結の後、移植胚を選択したほうが妊娠率は高かった。
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結論
34歳以下、あるいは移植胚が3BB以上であれば、高い妊娠率が期待でき単一凍結融解胚盤胞移植を適用できると考えられた。また、培養4日目で凍結するときは単胚凍結を行い、培養5日目および6日目で凍結する場合、複数胚凍結を行い、融解後にグレードの良い胚を選択して移植を行うほうが高い妊娠率が得られることが判明した。