日本受精着床学会 (大阪)
培養4日目胚の凍結の有効性
大阪New ART クリニック
New ART リサーチセンター
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目的
我々は、培養5日目のEx.BLおよびHatching.BLの凍結融解後の生存率を改善させるため、培養4日目胚の凍結の有効性について報告してきた。今回は症例数を増やし、新たな試みとして培養4日目での胚凍結に適したグレードを検討した。
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方法
2004年5月から2005年2月の間に培養4日目胚の凍結融解胚盤胞移植を行なった46症例と2004年1月から2004年12月の間に培養5日目胚の凍結融解胚盤胞移植を行なった121症例を対象とした。培養4日目胚の凍結(以下、Day4凍結と略す)はmolula以上の胚を対象とした。凍結法は 7.5%EG+7.5%DMSO(平衡化液)に2分間平衡後、15%EG+15%DMSO+Sucrose, Ficoll(ガラス化液)に浸し、30秒以内に液体窒素につけ凍結した。凍結した胚盤胞を0.33M Sucrose, 0.2M Sucroseの順に融解し2時間培養後、倒立顕微鏡下で胚のグレードを確認し生存率を検討した。生存率は胚全体が褐色なもの、2時間の培養で成長しなかったものを変性胚とし、その他の胚を生存胚として定義した。胚グレードはGardnerらの分類に従った。
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結果
Day4凍結胚とDay5凍結胚の生存率を比較すると、Day4凍結胚は94.7%、Day5凍結胚は91.6%であった。Day4凍結時のグレード別の生存率を比較すると、morula 91.9%, Early.BL 97.2%, BL 90.0%, Full.BL 100%, Ex.BL 100%であった。
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考察
Day4凍結胚とDay5凍結胚の生存率の比較より、Day4凍結により、胚の変性率を減少させ、生存率の上昇を導いた。また、Day4凍結時のグレード別生存率の比較より、Early.BL以上のグレードがDay4凍結に適すると考えられた。