日本不妊学会(旭川)
胚盤胞移植における胞胚腔の拡がり、内細胞塊(ICM)、外細胞層(Trophectoderm)の状態の分類による妊娠率の比較
大阪New ART クリニック
富山 達大大久保 美里宮田 広敏吉野 千尋馬場 聖子
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要旨
理想的なARTは単胎妊娠をすることであり、胚盤胞移植による単胚移植はその有効な1つの方法と考えられる。今回我々は、胞胚腔の拡がりとICM・Trophectoderm(以下Tro.)の形態学的な分類による妊娠率の比較を行い、1つの胚盤胞を形態学的に選択する有効な指標は何かを検討した。胚盤胞の状態は、day5にGardnerらの分類に基づき評価した。胞胚腔が拡がる程、ICM・Tro.のグレードが良くなる程、妊娠率が高い傾向にあった。また、ICM・Tro.のグレードのいずれかにCが含まれる場合(Bad BLと定義)と、含まれない場合(Good BLと定義)の妊娠率を比較すると両者に有意差が認められた(P<0.01)。そこで、Bad BLとGood BLそれぞれにおいて、胞胚腔の拡がりによるステージ別で妊娠率を比較したところ、Bad BLでは有意な差は認めらなかったが、Good BLではステージが進む程高くなる傾向にあった。また、Bad BLの胞胚腔の拡がりによるステージとGood BLのステージの組み合わせにおいて、妊娠率を比較したが有意差を認めず、どちらを優先させるかの結論は得られなかった。今回の検討から、単一のパラメーターで妊娠率を予測することは困難と考えられたが、ICM・Tro.のグレードのいずれかにCを含む、含まないが大きな因子であると考えられた。