学会発表・論文発表

日本受精着床学会(東京)

GnRHアンタゴニストを使用した排卵誘発法においてGnRHアゴニスト卵成熟に用いたIVF/ICSIの成績(富山達大)

広島HARTクリニック

大阪HARTクリニック

東京HARTクリニック

向田 哲規富山 達大後藤 哲也岡 親弘高橋 克彦
  • 目的

    我々はGnRHアゴニスト(GnRHa)の代わりに早発LHサージを防ぐ目的で反復ART不成功例にGnRHアンタゴニストを排卵誘発に用い、有用な臨床成績を得たことを本学会でも報告し、HCGの代わりにGnRHaを投与するConvenientIVFを提案してきた。今回更に症例を増やし有効性の検討をした成績を報告する。

  • 方法

    対象は従来のGnRHaを使用した排卵誘発による反復ART不成功例で反応良好な59症例で、平均年齢36歳であった。全員GnRHアンタゴニスト使用を希望した。月経開始3日目よりクロミフェンあるいはHMG投与を開始し、卵胞径が1.4cmになった日からGnRHアンタゴニスト(Cetrorelix:0.25mg)を連日皮下投与した。主席卵胞径1.8~2.0cmの時点でGnRHa(スプレキュア300μgあるいはナサニール200μg)を使用し、34時間後に採卵を行った。胚移植はD3またはD5に行った。

  • 成績

    全例で採卵が可能であった。平均採卵数は10.5個、受精率は61.9%で55例に移植が可能で、20例(36.4%/ET)に妊娠が確認された。 ICSIを行った48例において採卵数484個のうち404個(83.5%)がMII期の成熟卵であった。胚盤胞移植を行った49例において344個の受精卵の中140個(40.7%)が胚盤胞に達し、移植46例中18例(36.7%)に妊娠が認められた。採卵数が15個以上の14症例では中等度または重度のOHSS症例はまったく認められなかった。

  • 結論

    GnRHaを使用する従来の排卵誘発法ではHCG投与が必須であるが、GnRHアンタゴニストを使用する方法ではHCGの代わりにGnRHaを投与しても HCG投与法との間に成績に差がない事が示唆された。またこの方法は簡便であり、重度OHSS発症を予防する事が可能と考えられた。